俺の妹ボッコボコ

 

 

さて、知らない方は知らないだろうがここの地下ボクシングの選手、明日菜の兄である。

ここはそれぞれ配られる弁当が良いので満足満足

ああキミ、このテリーヌは何で出来てるんだ? え? 豆腐……知っていたさ。

 

 

明日菜の今日の相手はスタイルの良い長髪の、腹筋の割れた女性だった。

「勝ってやる!」

明日菜の意気込みだけは毎度の事だが、負けスタイルに定評があるだけあって

観客達の記憶にも明日菜が勝ったという記憶は無いだろう。

 

明日菜のマウスピースはひたすら大きく、口にどうやって入るの? という位だ。

そのマウスピースを掴んで、セコンドである明日菜の妹の紗菜が口に入れようとしている。

「お姉ちゃんのマウスピースでかすぎだって……もっと小さいの買いなよ、毎回毎回面倒なんだよね」

「こっ、これが私のポリシーだから」

「はいはい、よしと。やっと口にねじ込めた。

 

口の違和感は確かにひどい、口に異物が入ると自然と唾液が出るもので、その大きなマウスピースは

口の中で相当邪魔で唾液がダラダラと出てくる。

「紗菜、バケツ!」

「ほいほい」

紗菜がバケツを用意すると、ゴングが鳴るまで口に溜まった唾液をダラダラとバケツに吐き出し続ける。

「よくこんなにツバが出るねぇ。最初は臭くてイヤだったけど鳴れたよ。まあ臭いんだけど」

紗菜はわりと明朗で言いたい事はしっかり言うタイプだ。

 

そしてゴングが鳴った。

 

 

「砕けろボディー!」

明日菜は意気込んで相手のボディへパンチを打ち込んだが、まるで鋼鉄のようにパンチは少しもボディにめり込まなかった。

そしてすぐ反撃をされ、フックのような形でボコボコと殴られてしまう。

「うべっ、ふべっ!」

情けなく顔を左右に吹き飛ばされながら明日菜の口から唾液が飛び出す。マウスピースは大きいだけあって

なかなか吐き出されないが、目一杯に口から盛り上がっており、柔らかいゴム製で唾液をよく吸い取るので

エロ雑誌にある体中にオイルを塗りたくる女体。そのようにヌラーッと光っている。

「お姉ちゃん! がんばれー!」

紗菜はそう応援するが、どうせ勝てないだろうと思っていた。

実際その通りで、1ラウンドではお互いの様子見が多いのだが手加減抜きで顔をボコボコに明日菜は殴られている。

1ラウンド終了のゴングが鳴り、明日菜がコーナーへ帰ってくると紗菜はため息をついた。

明日菜の顔は赤く腫れあがっている。

「マウスピース、取ったり入れるのが面倒だから洗ったりしてあげないからねっ! それにお姉ちゃんのツバって

ただでさえ臭いんだから!」

紗菜は腕組みをしてそう言い切った。

「う、うん」

少し気が弱く社交的ではない明日菜は、活発な紗菜に頭が上がらないようで納得するしか無かった。

「じゃあ紗菜、せめて口に溜まったものでも吐き出させて……」

「しょうがないわねえお姉ちゃん、ほら」

先ほどの唾液の溜まったバケツを差し出される。

ダラダラ、ドロドロと唾液を吐き出し、普通の青いバケツの底から二センチ程、唾液が溜まった。

「うわー凄い量のツバ吐いたね、これ早速明日、学校で男子にぶっかけて遊んでやろうっと」

「そ、そんな事してたの?」

「うん、だって臭いじゃん。でもさ…・・・」

「でも?」

「もうみんな18歳だからおおっぴらにエロい話できるけどさ、お姉ちゃんのファンの男の子がいてね」

「うん」

「そのツバ被って臭い臭いいいながら勃起してた、もー変態なんだから!」

「……私のツバがオカズになってるんだろうね」

「そりゃそうでしょ、ファンだし臭い唾液ぶっかけられて興奮してるから絶対その夜、せんずりしてるぞー!」

「わかった。どうせトップレスだからもうあんまり恥ずかしくない。恥なんて無いのはわかってるけど」

「うん」

「とりあえず嫌がらせの為に私の唾液を使わないで欲しい……」

「えー、つまんない、じゃあセコンドやめるから一人で試合する?」

「あ、いやごめん……唾液を好きなようにお使いください」

「うむ」

そこで2ラウンド開始のゴングが鳴った。

 

2ラウンドもやはり一方的だ。相手のリーチが長い、顔にパンチが届かない。その上、打てるボディは鋼鉄の

腹筋で守られている。

「可愛い、本当に破壊しちゃいたいわ」

相手選手はそう言いながら明日菜の顔面をボコボコに殴る。

2ラウンドの中盤では明日菜の右頬は腫れあがり、鼻血も出ている。

それでも相手は手加減せずにガンガン顔面を殴ってくる。

そのうち、マウスピースが終に吐き出されるのではないかという程に口から盛り上がっている。

 

「ふっ、マウスピース吐きなさい」

そう相手選手が言うと、力をかなりこめて大降りのフックを打ってきた。

明日菜のガードは弾き飛ばされて左頬にグローブがめり込んだ。

「っっぶぇっ!」

わりと大きな声で低いトーンで明日菜は言いながらマウスピースを吐き出した。

それが液体を保存するコルクの栓だったかのように大量の唾液も吐き出され、

マットの上へベチャベチャと落ちる。

そのベチャベチャの音と同じような音で、びちゃんっ、びちゃんっ。と明日菜の柔らかくて大きなマウスピースが

唾液を撒き散らせながら跳ねる。

「う、噂どおりあなたの唾液って本当に臭い。でも私……興奮しちゃうなぁ」

相手選手は頬を少し紅くする。

 

マウスピースはみずみずしい果実を壁にたたきつけるようなベチャビチャという音をしながらセコンドの紗菜の目の前

まで転がって行った。

「おお、ついにお姉ちゃんのマウスピースが吹き飛んできた。このツバがびっちゃびっちゃの状態で

クラスの男子に売ろうかな」

紗菜はそう思いながら両手いっぱいの大きなマウスピースを手で唾液の沼から救い上げた。

 

明日菜は相変わらずボコボコにされている。右目が塞がって鼻血もダラダラと増え、口の中を切ったらしく

血を滴らせていた。

(パンチが届かない……それにボディにパンチが入らない!)

明日菜は悩んでいたが、もう相手にとってはフィニッシュブローを打つか打たないかという所まで来ていた。

 

ぐっしゃぁぁぁぁ!

 

相手選手のアッパーが明日菜の顎を突き上げ、明日菜の口から大量の唾液に血を混じらせて大量に吹き上げる。

明日菜はそのままダウンしてヒク、ヒクヒクと体をわずかに痙攣させている。

 

「楽しかったわ、あなたの唾液が臭いのに興奮したし、思い切り殴れたし」

顔がボコボコになってダウンしている明日菜の耳にそれが届いているのかどうかはわからない。

 

ただ、誰から見ても無様な負け姿だった。顔は可愛いのだがその片鱗も見れず、顔は腫れあがって

ぶざまに仰向けになって股を開いて体中をヒクヒク動かしている。

 

 

兄です。テリーヌ……いや、豆腐はおいしかった。明日菜は顔をボッコボコにされて鼻血出して

口からも同じように血を出して無様だが、料理の点数を総合したら90点だな。

今日は本当に弁当がうまかった。

頑張れ明日菜! おかげで旨い弁当が食えるのだから」

俗に言う腐った兄貴とはこういった輩を言うのだろう。

 

 

 

 

「はーい、お姉ちゃん、明日菜の唾液びっちょびちょマウスピースです! みんな幾ら出す?」

学校では紗菜が明日菜のマウスピースをセリにかけていた。

男子たちは前かがみになりながら値段を上げていく。

 

「いやー、やっぱりお姉ちゃんはマウスピース吹っ飛ばされて顔面ボッコボコにされて負けるのが一番だよ」

そう言いながら紗菜はポケットから写真を取り出す。

 

「今ならこの、そのマウスピースを吐き出した試合で負けたお姉ちゃ……明日菜の生写真付けるよ!」

セリはヒートアップするのであった。