ボクはバイトで貯めたお金を握り締めて店の前に立った。

ボクシングプレイを本気で出来る場所。でも風俗……。

風俗だけどこの見てくれで入れてもらえるだろうか?

別に同性愛者じゃないけど、可愛い可愛いと言われるので

ボクは女の子の格好をしている。

一目見てボクを男の子だと思う人はいないだろう、それにしても

コロンを付けすぎただろうか? 夏だけどバニラよりの匂いを

むわむわさせながら、ボクは思い切って中に入った。

 

「あれ? お嬢ちゃん、ここは」

「すみません、ボク男です」

「でもその声……」

「これでも男なんです!」

早速こんなやりとりがあり、学生書で18歳を超えている事、ボクが男である事を

ようやく理解してもらえた。

「じゃあ、誰にする?」

そう言われてボクは迷った。選んで良いと言われてもみんな可愛い。

適当に……そう、ボクは髪の赤い涼菜(りょうな)さんを選んだ。

その部屋の前に立つと緊張してドアが開けられない、緊張しすぎている。

ボクは震える手でドアのノブに触れた。

と、向こうからグリッと回してくる感触がして、ドアが開け放たれた。

「襲いよ〜」

涼菜さんは赤い髪をポニーテールのような形で後ろで縛っている。

ボクは何も言えなくなってしまった。

「ありゃ、可愛い〜!」

とりあえず涼菜さんにボクはウケたらしい。後で話を聞くに、いかにも「男」

という雰囲気の客が多いし、「殴るぞ〜」という気マンマンなものだそうだ。

それにひきかえボクはドキドキブルブルしながら姿を現したので

涼菜さん的にはお姉さんとして色々いじってあげようという気になったそうだ。

 

「ほら入って、どんなプレイがしたい? 一方的に殴りたいの?」

「いや、女の人の付けたマウスピース……欲しくって」

「あらら、なんかヘンに暗いねー」

涼菜さんの顔を見るとまんざら嫌そうでは無い、良かった。

部屋にはリングが有り、エアコンが有ってひやひやする。

「さ、脱いで」

「え……脱ぐの?」

「脱がないと風俗って始まらないでしょ?」

そう言って涼菜さんはボクに近寄って服を脱がせてくれた。

涼菜さん、ラベンダーの匂いがほんのりする。

「じゃあパンツも……女の子のパンツ履いてるんだね」

あっという間にボクは丸裸。

「帰りにちゃんとあげるからね?」

そう言ってニッと笑った涼菜さんの口には既にマウスピースがはまっていた。

「今日は客をとってないから、ずーっと口に入れてたんだ」

ニチャッと口から取り出して見せてくれた。

思わずムクムクと勃起をしてしまった。

「あら、おちんちんが……それもなんか大きい」

涼菜さんは驚いたやら嬉しそうな顔をした。

 

それからずーっとボクは勃起をしていた。

お互いリングの上でグローブとマウスピースのみでの打ち合い。

本気で殴っていいと聞いていたのでボクは色々と試してみた。

顔を殴ると唾液が飛んでマットに飛び散る。

ボディを打っても唾液をダラダラと垂らす。

涼菜さんは苦しそうな顔をしながらも一方的にパンチを受けてくれる。

 

「いつもの客よりパンチ力があるから……結構こっちは持ちそうだよ」

そう言ってくれた。

フックっていうのか知らないけど、右拳を円を描くように頬を打つ。

ガードをする様子もなく、涼菜さんの頬へめり込む。

「あぶっ!」

涼菜さんは唾液を吐き出してのけぞる。

がらあきになったボディへ続けて一発。

「んンッ!」

うめき声みたいなえっちな声を出して前のめりにかがみ、ポタポタと唾液を落とす涼菜さん。

勃起は止まらない。

 

「……ねえ、殴られたい?」

突然涼菜さんが言ってきた。

「殴るだけじゃ不公平かな……殴ってもいいよ」

ボクがそう言うと、涼菜さんは迷わずボクのボディへパンチを打ち込んできた。

ズンッ! と頭の中に音が響いてパンチがボクのボディへめり込むのがわかる。

そして苦しみが襲い掛かってくる。

何ともいえないけど、なんだか口の中のマウスピースに違和感が出てきて

どっと苦しさが頭を支配した。

自分が冷や汗をかいている事に気づいた時、たまらずにボクはマウスピースを吐き出した。

唾液がいっぱい分泌されていたので、マウスピースは唾液を吸ってべちゃべちゃになっており

ビチャンと跳ねてコロコロ転がった。

「ボクの吐いたマウスピースだ、ボディをもらって口から」

そう思うと苦しみの中、勃起がギンギンと激しくなった。

「あれ? あなたMじゃないの」

涼菜さんが意外そうに言う。

ボクも知らなかったけどそうだったみたい。

「あ、ボディを食らって悶絶して吐いたボクのマウスピースだ」

って、転がってる自分のマウスピースを見ながら思うと勃起が収まらない。

 

「女の子が吐き出してるみたい、ただオッパイが無くておちんちんが付いてるだけ?」

「ウン」

ボクは素直に首を縦に振った。

「匂いフェチもあるみたいだし……ちょっと廊下で深呼吸して来たら?」

そう言われてボクは廊下でスーハーと深呼吸をして部屋に戻った。

そこで匂いフェチとの関連の意味がわかった。

廊下の匂いに鳴れた鼻に唾液の匂いがツーンとする。

「匂うでしょ? これはほとんど私の唾液の匂いだけどね」

 

涼菜さんの唾液の匂いなんだ

ボクシングをして

涼菜さんが顔にパンチを食らったり

ボディに食らったりして、だらしなく吐き出した

唾液の匂いなんだ

 

頭にそれがグルグルとまわって、もう耐え切れなくなった。

「あっ駄目ッ!」

ボクは女の子みたいな声で言った瞬間

ビュルッ、ビュルルルッ! と射精をしてしまった。

おちんちんが上下にビクンビクン動いて止まらない。

ビュルッ! ビュルッ!

「あっ、飲まないと!」

涼菜さんが走ってきてほとばしる精液ごとボクのおちんちんを口に含んだ。

ぐにゃりとしたマウスピースの感触がして、舌で気持ち良いトコロをさんざん刺激される。

冷房のきいた部屋でボクは汗だくになって妄想をひたすら走らせた。

オナニーを一度すると敏感になってもう満足しちゃうんだけど

大量に発射した後なのに気持ちよさが無くならない。

「おっと、これ以上ださせちゃダメか」

涼菜さんは口を離した。

 

「さ、なぐりっこしようか」

「ウン」

いつの間にか汗臭い匂いも部屋にムンムンしている。

涼菜さんの匂いだ、体臭だ……甘いような酸っぱいような匂いがする。

ボクはボディを打ち込んだ。

「げほっ!」

完全に入ったらしく、涼菜さんはひどく驚いたような顔をした後に

マウスピースを吐き出した。

びちゃんっ!

 

そして涼菜さんはうつぶせに倒れ、ヒクヒクしている。

目の前の涼菜さんのマウスピース。

肉厚でヌラヌラ唾液で光っていやらしい。

「す、すぐには立てないから……それの匂いを楽しんで待ってて」

苦しそうに涼菜さんが言う、マウスピースを拾う免罪符をボクはもらった。

緊張して震える手でマウスピースをぬちゃっと拾うと迷わずボクはその匂いを嗅いだ。

ツーンとするんだけど、唾液の匂いだけじゃなくて、歯茎をゴシゴシして嗅いだような匂いがする。

これは涼菜さんの普段嗅げない口の中全体の匂い、駄目だ勃起する。

涼菜さんの唾液、唾液……もっと原始的な唾って表現がいい。

涼菜さんの唾、唾! 唾!

 

とってもいやらしい匂いがした。

葉型なんて普通の人生を送っていたら人に晒す事はほとんど無い。

涼菜さんの口の中のいやらしいデータをボクは知っている事になる。

 

それにしても匂いを嗅ぐのが止まらない。

射精なのかわからないけど、おちんちんのさきっぽからドロドロと白濁した液が出る。

そして前立腺っていうのだろうか? そのへんが痛いほどだ。

 

「うげほっ!」

涼菜さんはうつぶせのまま透明な吐き出した。

汗でぬらっとした筋肉質な体をビクンビクンさせながらごぽっ、ごぽっと何度も何度も吐いている。

酸っぱい匂いがたちこめて今までの汗や唾液の匂いにプラスして酸っぱい匂いも部屋に充満する。

さんざん吐きおわると涼菜さんは立ち上がった。

「時間近づいてきちゃった、フィニッシュ……決めたい?」

「う、うん」

「じゃあアッパーカットぶちこんで?」

涼菜さんはそう言って苦しそうな中に微笑みを浮かべると両手を広げた。

ボクは思い切り拳を突き上げて……

 

グシャッ!

 

涼菜さんは思い切りのけぞって、いつ口に入れたかわからないけど血みどろのマウスピースを吐いた。

低い天井にビチャリとマウスピースが当たり、血の魚拓みたいな形を残す。

マウスピースはボトンボトンと跳ね、あおむけにダウンする。

そして涼菜さんは痙攣を始めて……おしっこを始めた。

それはなかなか止まらずに、本格的に気を失ってしているらしく、文字通り失禁だ。

おしっこの匂いがムンムンとする。

 

ボクはそこでプレイの時間切れとなり部屋を出された。

ビニールには唾液たっぷりのマウスピース、血みどろのマウスピースが入っている。

 

夢でも見ていたかのようにボーッと帰路を歩きながらたまにそのマウスピースの匂いを嗅いで

夢じゃなかったよなぁと確信しながら。

 

 

 

しばらくして再び行くと、そこにはそんな店なんてなかった。

老舗の古本屋がそこにはあり、ボクはやっぱり夢だったんだろうかと思い始めていた。

 

 

家に帰ると涼菜さんのマウスピースは存在する。夢ではなかったんだろうけど……。